OECD、より良い暮らし指標を発表

OECDが5月24日に発表した「より良い暮らし指標(Your Better Life Index)」と呼ばれるこの指標は、 幸福と進歩を計測することを目指すより広範な「OECDより良い暮らしイニシアチブ」の一部です。指標は、暮らしの11の分野(住宅、収入、雇用、共同 体、教育、環境、ガバナンス、医療、生活の満足度、安全、ワークライフバランス)について34カ国間の比較を可能にするもので、各分野にそれぞれ比重が置 かれています。▼より良い暮らし指標のページへ 以下、一部抜粋。

OECD5月24日発表の「よりよい暮らし指標−日本に関する資料」より抜粋

 

コミュニティ 主な調査結果

 

人間は社会的な生き物である。したがって、他者との接触や人間関係の質が人間の幸福にとっての重大な決定要因となっている。強力な社会的ネットワーク、すなわちコミュニティは、雇用、サービス、その他の物質的な機会へのアクセスを提供するばかりでなく、良いときも悪いときも精神的な支えになりうる。日本では、国民の90%が自分には必要なときに頼れる人がいると考えており、これはOECD平均に近い。過去1ヶ月間で他人の手助けをしたことがあると答えたのは約23%で、これはOECD諸国の中で最も低い値である。社会的ネットワークが弱いと、経済的機会が限られ、他者との接触がなくなり、最終的には孤立感につながりかねない。社会的に排除された個人は、社会の一員となって貢献することも個人的願望を果たすことも厳しくなる。日本国民の15%近くが社会的環境の中で友人や同僚などと共に時間を過ごすことが「ほとんど」もしくは「まったく」ないと回答しており、この値はOECD諸国の中で最も高い。

 

教育 主な調査結果

 

国家の社会的・経済的安定のためには、十分な教育と訓練を受けた国民が不可欠である。教育は、個人が社会や経済に効果的に参加するために必要とされる知識、技能、能力を提供する上で重要な役割りを果たすものである。最も具体的な形で言えば、良い教育を受ければ仕事を見つけて十分な所得を得られる可能性が大幅に高まる。OECD諸国全体では、大学卒業れベルの学歴を持つ男性は仕事を見つけられる可能性が16%高まり、女性では30%高まる。生涯所得も教育水準が高まるごとに上昇していく。過去数十年間で肉体労働は減少しており、雇用者は教育を受けた労働力をより好むようになっている。したがって、高校卒業率はその国の学生が雇用市場で要求される最低限の条件を身につけているかどうかの良い目安となる。日本では25歳から64歳の成人のほぼ87%が高校卒業レベルの学歴を持っている。この値はOECD平均73%を上回り、OECD諸国の中で上位に位置している。

 

卒業率は重要な尺度ではあるが、国民が受けている教育の質についてはほとんど示していない。

 

OECDの学習到達度調査(PISA)は、学生が現代の社会に本格的に参画するために不可欠な知識や技能をどれだけ取得しているかを調べるものである。2009年度のPISAでは、読解力は教育を受けた年数以上に経済的・社会的安寧を予見予告する信頼性ある尺度であるとの研究結果を受け、学生の読解力の調査に重点が置かれた。

 

日本はOECD諸国の中で読解力がトップレベルであり、学生の平均点は600点中520点であった。この得点はOECD平均の493点を上回っており、日本は読解力に関してOECD諸国の中で第5位であった。さらに、一部の学生は非常に優秀であり、数学では習熟度レベルの上位2段階に21%以上、科学では習熟度レベルの上位2段階に17%以上の学生が該当した。

 

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