子育て社会の背景〜子育て支援の視点から考える

 

子育て支援の対象について、もう一度考えてみましょう

 

 生活スタイルが多様化して、核家族やひとり親家庭が増えました。それによって、子育ての負担がママに大きくのしかかり、気分転換のゆとりもないマ マは、孤独感や不安感、焦燥感にとらわれがちです。ほんの少しの時間、子どもから離れてリフレッシュするだけでずいぶんと気分が変わるものですが、その ちょっとした隙間の時間さえもとれないのが現状です。実家の親に預けようと思っても、別のボランティアや趣味に打ち込んでいて、子どもをお願いするといや がられることもよくあります。頭を下げてお願いするのであれば自分で見ていた方がましかと思い、自分の親でさえも気を使って子どもを預けないママもそれほ ど珍しくはありません。

人間ひとりのがまんには限界があります。家に閉じこもりがちで、パパの帰宅が遅いママは、自分の話を十分に聞いてもらえる相手もなかなか見つけられないことがあります。子どもがいない時にはそれほどご近所と親しくする必要もなかったことも影響して、引越してきて間もなく出産した場合は、ご近所とおしゃべりする信頼関係がまだできていないことが多いです。また、小さい子どもを抱えて新しいママの友達を作ることは、長い時間外出できるようになる月齢までは、実際は難しいのが現状です。次は、現代の子どもの様子をお話します。

一番下の二葉は小学校、真ん中の二葉が中学校、一番上の二葉は高校を表し、それぞれの段階において問題となることを示しています。最近のTVアニメやコミックでは、いじめ等の題材を使った陰湿なものがあったり、テレビの途中で流れるCMで悪質な場面が流れるものも多いです。夕食の支度をしながらも、背中でテレビの内容を気にしていて、なかなか気を緩めてはいられません。また、不審者情報が学校から携帯へ送られてくることも多く、早めにお迎えにでることもあります。中学校、高校になると携帯電話の見えにくい問題も多くなり、顔の見えない悪質な誘いが想像以上に多い事も問題となっています。それらをママが一人でバリアをはっていますが、個人の能力としてはバランスよく、しかも風通しよくバリアを張るのはかなり難しいことです。バリアをはりすぎてしまったママがモンスターと呼ばれているのかもしれません。

 

 大人達が、一所懸命に「いじめはしない、うそをつかない、どりょくする、せきにんをもつ」と繰り返しながら育てていますが、現実的には、犯罪の低年齢化が進み、青少年の問題が増えています。なぜでしょうか?

新聞で毎日のように飛び交っている大人社会のモラルやルールが欠如して起こる悪影響が、子ども社会へも流れでていると考えられます。

子どもは、あるとき、小さい頃から言われている立派な大人の言葉と、実際の大人社会のギャプに気づきます。そして、行動の伴わない大人社会を知り、夢や希望が打ち砕かれてやがて大人社会への不信感を抱くようになります。 ここまでをもママだけの責任としてきた悲しい過去を反省して、これからは大人社会を構成する大人達がみんなで協力し合うことが必要とされています。

 最初の質問の答えは、地域社会全体のためであるという結論がでました。「子育て支援の対象は地域教育力向上のためであること」と認識をあらためて、今後は地域社会全体で取り組んでいく必要があることを共有していきたいと思います。

 そして、ママバリアに加えて、パパバリア、ご近所・学校バリアも大人達が協力してバランスよく、風通しよく子どもを守っていきたいと考えています。これは、あくまでも緊急の措置です。

根本的な対策としては、大人社会に蔓延している自分の利益重を重視する社会から、モラルやルールを大切にする仕組みへと転換できるよう気づいた人から努力することが大切だと考えています。これは長い時間がかかる取り組みですが、根本的な解決へ向けての取り組みとして外す事のできない重要事項です。

 団塊の世代の方へお願いしたいことは、上記の4点です。主役である子育て世代を上手くサポートする名脇役、あるいは会長役をお願いしたいと思っています。そして、家族や地域のよき相談者として同じ目線で現代の抱える問題を考えてもらえることを期待しています。

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